十二国記シリーズ/小野不由美【読書ログ・感想】
昨年12月12日、十二国記ファンが歓喜する出来事がありました。
待望の・・・
新刊が・・・
2019年に刊行される・・・!!
短編集は5年前にも出ていますが長編はなんと18年ぶり!!
18年ってすごいですよね。
続いていてくれることが幸せだし、待っていた同志がこんなにいるんだってことがTwitterのお祭り騒ぎで実感できて嬉しかったです。
新刊が出るにあたって既刊を読み直したのでレビューします。
まだ読んだことないけれどちょっと興味はあるという人の参考になればと思います。
シリーズ全体の概要について
作者は小野不由美さんです。
もともとは講談社から出版されており、最近は新潮社から完全版として出版されています。
(新潮社 出版年順)
「丕緒の鳥」と「華胥の幽夢」は短編集です。
「魔性の子」はもともとはホラー小説で、十二国記の外伝的な扱いだったものでした。
新潮社で完全版として出版される際にはエピソード0という扱いになりました。
ストーリー
それぞれ特色のある12の国が存在する異世界ですが、蝕と呼ばれる天変地異で現実世界にある日本や中国との行き来もあったりします。
この世界ではどの国も王様が治める王政国家ですが、その王様は天帝の意思に基づいて麒麟という神獣が選びます。
道にもとる政治をしてしまうと麒麟も王様もいずれ死んでしまう。
物語には中国の古い書である山海経に出てくるような神仙や妖怪が登場します。
国が荒れると妖魔が跋扈するし、王様が賢く、国が安定すれば妖魔は出ない。
そんな独特な世界観の中で繰り広げられる人間模様。
シリーズは同じ世界観を共有していますが、国や年代はバラバラで、それぞれで話が完結しています。
なのでどこから読んでも基本的には面白いですが、個人的には「月の影 影の海」から読むことをおすすめします。
これを読んで面白ければ全部面白いし、この世界観にひたれなかったらどれもハマれないんじゃないかなあ。
何冊かかいつまんで紹介
「月の影 影の海」は普通の女子高生だった陽子が突然異世界に吹っ飛ばされて、周囲の人の手を借りながら異世界で行きていくお話です。
時には裏切られ、人間不信になって荒んだりしながら、それでも自分をしっかり保って自分の使命を全うしていく主人公に打たれます。
何がいいって、細かいところまで描写されるこの十二国記の世界観が好き。
国ごとの特色や人々、神や仙、妖の類まで丁寧に描写されている。
半獣の楽俊の可愛さにも注目。
どっぷり感情移入しながらハラハラドキドキ読めること間違いなし。
その後は出版順に読むもよし、十二国記のストーリーとしての年代順に読むもよし、どっから読んでも面白いです。
私Sakuraが個人的に好きなのは「図南の翼」。
若干12歳の女の子が王になるため、妖魔あふれる黄海を旅する冒険譚です。
主人公の女の子は芯があって強気でがむしゃらだけど、しっかり考えていて無鉄砲じゃない。
最後の方の、本当に王の器だという自信があるのか、という問答のシーンが好きです。
ほとばしる本音が刺さります。
シリーズの他の本に出てくる登場人物がちらりと出てきたり、あるいはこの主人公の少女が他の本に出てきていたりで二重三重に楽しめます。
新潮社で出版されてからは、「魔性の子」から入ったという人も結構いるのかもしれません。
そういった人の感想も聞いてみたいものです。