ももクロ非常識ビジネス学 - アイドル界の常識を覆した47の哲学/小島 和宏【読書ログ・感想】

SakuraはももクロことももいろクローバーZのファン、いわゆるです。

ももクロの公式記者である小島さんの、ももクロに関する本はだいたい読んでいます。

その流れでもちろん買ったこの本ですが著者の小島さん自身が言っている通り、ももクロのファンでなくてもビジネス書として手に取ってもらえたら、なにか得るものがあるのではということでレビューします。

 

ももクロ非常識ビジネス学 - アイドル界の常識を覆した47の哲学

小島 和宏

ワニブックス 2018/12/22) 

 

概要

 

この本はタイトルの通り、ビジネスとしてやっていこうと思ったらあり得ないだろ!と思うような、一見して非常識に思えることがひとつひとつ、今のももクロにつながっているということを紹介しています。

そもそもももクロのスタートが、大きく利益を出さなくてもいいというスタンスで始まった新規事業なので、すべてのビジネスに当てはまるものではもちろんありません。

ももクロのマネージャーさんのラジオ特別番組で著者の小島さんが言っていたのですが、本が出版されたあとにアイドル界隈で大きく話題になった事件があり、アイドル運営の在り方とは、といった文脈でこの本が紹介されることが増えて売り上げにつながったとか。

 

数えきれない程存在する地下アイドルをはじめ多様化するアイドルシーンですが、やはり現在主流にあるのは秋元康さん率いるAKBG・坂道シリーズでしょう。

ビジネスとしても成功していると思われ、本書でもそういったグループで行われていることとの比較がしばしば取り上げられています。

 

ももクロとAKBG・坂道シリーズの違い ~握手~

 

その一つが「握手」。

AKBG・坂道シリーズに限らず握手会をやっているアイドルグループは数多く存在します。

その多くがCDを1枚買うと1回握手ができる仕組み。

こうやってたくさんのCDが売れるシステムが出来上がります。

逆に言うと、このシステムを当初は採用していたのに途中でやめてしまったももクロには、CD売り上げ面でどうしても強くはなれない。

そして、業界関係者が「七不思議」のひとつに数えるのが「ももクロはCDの売り上げが10万枚にも満たないのに、どうしてライブではそれ以上の数を動員できるのか?」という謎である。

それでもももクロが安定した地位を築けているのはなぜか、本書では「ライブを最強で最大の『商材』にする」ということが挙げられている。

ブランディング、差別化という点で、ライブに主軸を置いたといえるのでしょうか。

こうして握手会なくても、CDがあんまり売れなくても、なんだかんだやっていけている。

まあこの点に関しては、今後もそれで大丈夫なのか、レコード会社の立場だってあるだろうし、興味深いと思っています。

 

ももクロとAKBG・坂道シリーズの違い ~総選挙~

 

また、AKBGといえば総選挙も特徴的ですね。

テレビでも放送され、関心のない層にも届いてくるような一大イベントです。

投票権がCDに含まれるので、これもまたCDの売り上げに直結します。

またファンが参加している実感を味わえるのも醍醐味です。

少人数グループでこの制度が採用されていたら、結構えぐいなとも思いますが本書ではちゃんとこの点も考察されています。

これに関しては運営サイドの戦略というよりも、メンバーのかなり強い意志が関係している。(中略)こういうメンバーの意志をちゃんと尊重してもらえるのも「ももクロらしさ」と言っていいだろう。

正直これまでの歴史を振り返れば、本人たちが嫌がっても結構いろんなことをさせられてきていたようにも思いますが(笑)

本当に嫌なこと、というのはちゃんと配慮してくれるということでしょう。 

 

その他も目次をざっと見るだけで

  • 「永続性」はシンデレラストーリーよりも強い!
  • 無料サービスで開園9時間前からお祭りムードに
  • エンタメ業界では「朝令暮改」も是である!

とか気になる項目が並びます。

 

おわりに

 

コアファンにとっては知っている話も多く出てきますが、自分の好きなグループが歩んできた道のりを、普段とは別の視点で確認できて面白いです。

ファンでない人にとっても、こういうやり方もあるのか、というかむしろ、なんでもありなんだ、ということを知ってもらえたらなあと思います。